ITパスポート試験とは?
ITを活用するすべての社会人、そしてこれから社会に出る学生にとって、ITの基礎知識を証明できる国家試験が「ITパスポート」です。
近年、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中で、ITパスポートの重要性はますます高まっています。その影響もあり、受験者数は年々増加。令和5年には年間応募者数が30万人に迫るなど、今や多くの人に選ばれる人気試験となっています。
また、企業の間でも、社員のITスキル向上を目的にITパスポートの取得を推奨する動きが広がっています。単なるIT知識の証明にとどまらず、社会で活躍するための武器として注目されている試験なのです。
ITパスポート試験概要
受験時期 |
通年受験 |
---|---|
受験会場 |
全国 |
試験時間 |
120分 |
出題数 |
全100問 |
試験方式 |
CBT(Computer Based Testing)方式※1 |
採点方式 |
IRT(Item Response Theory:項目応答理論) |
合格基準※ |
総合評価点:600点以上(1,000点満点) 分野別評価点: ストラテジ系(経営全般):300点以上(1,000点満点) マネジメント系(IT管理):300点以上(1,000点満点) テクノロジ系(IT技術):300点以上(1,000点満点) |
CBT(Computer Based Testing)方式
CBT(Computer Based Testing)方式とは、パソコンを使用して実施される試験方式のことを指します。従来の紙とペンを用いた試験(PBT: Paper Based Testing)とは異なり、受験者は試験センターのPCを使って問題を解答します。
ITパスポートの試験では、問題はランダムに出題され、受験者ごとに異なる問題が出題されます。
また試験後、試験結果が即表示され合否を確認することができます。
IRT(Item Response Theory) 方式
ITパスポートでは出題される問題が受験者によって異なる為、1問一点の計算ではなく、問題の難易度によって得点が変わるIRTを採点方式に取り入れています。
その為、必ずしも60問正解をすれば合格できるわけではありませんので、過去問に取り組むさいは、70%が取れるよう心掛けましょう。
ITパスポート試験範囲
ITパスポート試験の出題範囲は、「ストラテジ系(経営全般)」「マネジメント系(IT管理)」「テクノロジ系(IT技術)」の3つの大分類に分かれています。
特にテクノロジ系は試験の50%を占めるため、ITの基本知識(ネットワーク・セキュリティ・データベース・アルゴリズム)を重点的に学習することが重要です。
ストラテジ系・マネジメント系もバランスよく学習し、3分野すべてで基準点(300点)を超えるように対策しましょう。
ITパスポート公式シラバスはこちらからご確認いただけます。
ストラテジ系(経営全般)
企業活動や経営戦略に関する内容が出題されます。ITパスポート試験の約35%を占める分野です。
企業と法務 |
企業活動(企業の組織形態、経営戦略、財務・会計、データ活用、CSR(企業の社会的責任)) |
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経営戦略 |
経営戦略マネジメント:SWOT分析、ポーターの5フォース分析、PDCAサイクル、バリューチェーンなどの経営戦略手法を学ぶ。また、マーケティング(4P、3C、ブルーオーシャン戦略)、ビジネス戦略、KPI設定、ERP・SCM・CRMなどの経営管理システムについても理解する。 技術戦略マネジメント:技術開発戦略の立案・計画、技術ロードマップの策定、研究開発の推進に関する知識を学ぶ。 ビジネスインダストリ:ビジネスシステム(POS、電子商取引)、エンジニアリングシステム(CAD、CAM)、e-ビジネス、IoTシステム・組込みシステムの役割と活用を理解する。 |
システム戦略 |
システム戦略:情報システムの導入計画やIT戦略の立案、業務プロセスの可視化・最適化、ITソリューションの活用、システム導入後の評価を学ぶ。 システム企画:システム化計画の策定、要件定義、ITサービスの調達と契約管理について理解する。 |
ストラテジ分野 試験対策
ストラテジ分野はとにかく「暗記」です。そして、ITパスポートの3分野の中では最も点数が取りやすい分野でもあるので、ここでしっかりと得点を取ることが合格の道へと繋がります。
また、社会人経験がある方にとっては、マーケティングや企業活動など学習がしやすい分野でもあります。
✅ 経営分析の基本用語を覚える
「SWOT分析」「PDCAサイクル」「ポーターの5フォース」など、経営フレームワークの意味と活用方法を理解する。
✅ マーケティング用語を押さえる
「4P」「3C」「ブルーオーシャン戦略」などのマーケティング戦略を具体例と一緒に覚える。
✅ 法律関連は頻出なので暗記する
「知的財産権」「個人情報保護法」「下請法」など、IT業界に関係する法律を理解する。
✅ DXやデータ活用に関するトレンドを知る
AIやクラウド、ビッグデータなどの用語を知っておく。
マネジメント系(IT管理)
システム開発や運用管理に関する内容が出題されます。ITパスポート試験の約15%を占める分野です。
開発技術 |
システム開発技術:システム開発モデル(ウォーターフォール・アジャイル)、要件定義、開発プロセス、ソフトウェアの品質管理について学ぶ。 ソフトウェア開発管理技術:バージョン管理、変更管理、テスト手法、開発プロジェクトの品質保証について学ぶ。 |
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プロジェクトマネジメント |
プロジェクトマネジメント:PMBOK(プロジェクトマネジメントの知識体系)に基づくプロジェクトの計画、進捗管理、リスク管理、コスト管理、スコープ管理について学ぶ。 |
サービスマネジメント |
サービスマネジメント:ITサービスの提供と管理(ITIL)、SLA(サービスレベル合意)、インシデント管理、問題管理、ITサービスの運用を学ぶ。 システム監査:内部統制、リスクマネジメント、情報システム監査の目的と手法について理解する。 |
マネジメント分野 試験対策
マネジメント分野の学習で重要なのが、文章を読み解く力です。また、コスト管理など、簡単な計算問題も出題されるので、公式を覚え点数の取りこぼしがないように学習しましょう。
✅ システム開発手法の特徴を比較して覚える
ウォーターフォール開発(設計→開発→テストと順番に進める)
アジャイル開発(短いサイクルで開発を繰り返す)
✅ プロジェクト管理の基本を理解する
PMBOKの「スコープ管理」「コスト管理」「リスク管理」を押さえる。
ガントチャートの読み方を練習する。
✅ ITサービスマネジメントの役割を覚える
**ITIL(インシデント管理・問題管理・変更管理)**の違いを整理する。
**SLA(サービスレベル合意)**とは何かを理解する。
✅ システム監査の目的を理解する
監査の目的は「内部統制」や「セキュリティリスクの検証」であることを覚える。
テクノロジ系(IT技術)
ITの技術的な知識に関する内容が出題されます。ITパスポート試験の約50%を占める分野で、試験の中心となる部分です。
基礎理論 |
基礎理論:2進数・16進数、情報の単位(ビット・バイト)、論理回路、データ圧縮、アルゴリズムの基本について学ぶ。 アルゴリズムとプログラミング:順次処理・分岐処理・繰り返し処理、流れ図(フローチャート)、プログラムの制御構造について学ぶ。 |
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コンピュータシステム |
コンピュータ構成要素:CPU、メモリ、ハードディスク、SSDなどのハードウェア構成を学ぶ。 システム構成要素:クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティング、仮想化技術の概要を理解する。 ソフトウェア:オペレーティングシステム(Windows、Linux)、アプリケーションソフトウェア、ミドルウェアの役割を学ぶ。 ハードウェア:入出力装置、ストレージ、ネットワーク機器、コンピュータの基本構造について学ぶ。 |
技術要素 |
情報デザイン:ユーザーインターフェース、アクセシビリティ、ヒューマンインタフェースデザインの考え方を理解する。 情報メディア:デジタル画像、音声、動画の圧縮技術やデータフォーマットを学ぶ。 データベース: データベース及びデータベース管理システム(DBMS:Database Management Syste ネットワーク:LAN・WAN、TCP/IP、HTTP・HTTPS、Wi-Fi、VPN、ネットワーク機器(ルータ・スイッチ)について学ぶ。 セキュリティ:情報セキュリティの基本原則(機密性・完全性・可用性)、暗号技術(公開鍵暗号・共通鍵暗号)、認証技術(パスワード・多要素認証)、マルウェア(ウイルス・ワーム・トロイの木馬)、ファイアウォールの役割を理解する。 |
テクノロジ分野 試験対策
✅ 2進数や論理演算をしっかり練習する
2進数⇔10進数の変換
AND, OR, NOT, XOR の論理演算
✅ ネットワークの基本を押さえる
IPアドレス(IPv4 / IPv6)、MACアドレスの違い
HTTPとHTTPSの違い、VPNの仕組み
✅ アルゴリズム基礎の理解
フローチャートの読む練習を繰り返しましょう。
✅ セキュリティ対策を暗記する
マルウェア(ウイルス・ワーム・トロイの木馬)の違いを覚える。
「公開鍵暗号」「共通鍵暗号」の特徴を比較して理解する。
ITパスポートに合格するメリット

ITの基礎知識を体系的に学べる
ITパスポートは、IT技術・経営戦略・マネジメントの基礎知識を幅広く学べる国家資格です。特に、ITに関する専門的な知識がない人でも、ビジネスで必要なITリテラシーを体系的に習得できるため、日常業務やキャリアアップに役立ちます。

就職・転職・昇進で有利になる
ITパスポートは国家資格なので、履歴書に記載でき、IT業界だけでなく一般企業でも評価される資格です。特に、事務職・営業職・管理職の人でも、ITの知識を持っていることがアピールポイントになります。また、企業によっては、昇進・昇格の要件にITパスポート取得を含めている場合もあるため、キャリアの選択肢が広がります。

IT関連の資格取得へのステップアップになる
ITパスポートは、基本情報技術者試験(FE)や応用情報技術者試験(AP)などの上位資格を目指す際の基礎固めとしても最適です。ITパスポートで学んだ知識をベースに、より専門的なITスキルを深めることができます。また、資格試験のCBT方式やIRT方式のスコア算出に慣れることもできるため、他の試験の対策にも役立ちます。
試験のお申込みの流れ
利用者IDの発行
ITパスポートを初めて受験する場合には、利用者IDの発行が必要となります。利用者IDの登録には、利用者IDと有効なメールアドレスを準備する必要があります。
※利用者ID登録後に受験申込をおこなわずに1年経過した場合、最後に受験申込した試験日から1年経過した場合、登録した利用者IDは無効となります。利用者IDが無効となった場合は、再度利用者IDを登録してください。
利用者情報の登録
利用者IDの登録が完了後、自動で仮パスワードが付きのメールが送信されます。利用者IDと仮パスワードを使用し、マイページにログインをします。
【ログインはこちらから】
ログイン後受験申込の前に、ご自身の情報を登録する必要があります。
利用者関連メニュー⇒利用者情報登録
受験申込
利用者情報登録が完了をしたら、受験申込に進みましょう!
受験関連メニュー⇒受験申込
- 地域の選択
ITパスポートの試験は47都道府県で開催しています。 - 会場・日程・時間の選択
各会場実施日が異なりますのでご自身のスケジュールに合わせて、会場選びをしましょう! - アンケートへの回答
- 申込内容の確認
- 決済方法の選択
決済は、クレジットカード・バウチャー決済・コンビニ決済が利用できます。
試験日当日の流れ
事前準備(当日持参するもの)
当日慌てることの無いよう、試験準備は前日に終わらせましょう!
【持ち物】
・確認票
確認票には、受験に必要な受験番号、利用者ID、確認コードが記載されてる他、試験日時、会場が記載されています。試験当日慌てることの無いよう、会場への行き方確認するようにしましょう!
・有効な期限内の顔写真付き本人確認書類
身分証明書は、顔写真付きのものに限定されています。
▼身分証明書
- パスポート
- 運転免許証(仮運転免許証を含む)
- 住民基本台帳カード(顔写真付き)/マイナンバー個人番号カード(顔写真付き)
- 特別永住者証明書/在留カード
- 身体障害者手帳(顔写真付き)
- (社員証・学生証(顔写真付き))※
※詳細はこちらからご確認ください。
・当日机の上に置けるもの
ハンカチ、ポケットティッシュ、目薬、確認票。
筆記用具については、当日会場にて貸出がある為、ご自身で持っていく必要はありません。
試験当日の流れ(受付)
・会場来場
試験開始時刻30分前から会場に入場をすることができます。
試験会場は確認票に記載がありますので、事前に行き方を確認し、時間に余裕をもって来場ができるようにしましょう。
・受付
試験会場についたら受付をしましょう。受付時に本人確認書類(身分証)を提示します。
・座席案内
所定の時刻になると座席に案内がされます。
試験会場に入るまでにトイレなども済ませるようにしましょう!
試験当日の流れ(試験)
ITパスポート試験は、PCで受験をするCBT方式が採用されています。
・受験端末にログイン
自身が仕様するPCまで案内をされたら、受験端末に、受験番号、利用者ID、確認コードを入力します。
これらは、持参した確認票に記載があります。
・試験開始
試験開始時刻になると、試験が開始されます。
試験中は配布された、メモ用紙とシャープペンシルを利用することができますので、計算問題などは、メモ用紙を活用しましょう!
・試験終了後
試験終了時刻になると、自動で採点が始まります。また、試験終了前でもご自身で解答終了ボタンを押すことで試験を終了することができます。
試験が終了すると自動で採点がされ、試験結果を確認することができます。試験の採点結果はもち帰ることは出来ませんが、受験申込の際に利用したマイページからダウンロードが可能です。
- 地域の選択
ITパスポートの試験は47都道府県で開催しています。 - 会場・日程・時間の選択
各会場実施日が異なりますのでご自身のスケジュールに合わせて、会場選びをしましょう! - アンケートへの回答
- 申込内容の確認
- 決済方法の選択
決済は、クレジットカード・バウチャー決済・コンビニ決済が利用できます。