
【基本情報技術者試験】
2019年7月開催午前免除試験ピックアップ10題
2019年7月28日(日)開催の基本情報技術者試験 午前免除修了試験 の中から 10題ピックアップし詳しい解説を掲載しています。
問題文をよく読み演習してみましょう。
- No. 1リストを2つの1次元配列で実現する。配列要素 box[i] と next[i] の対がリストの1つの要素に対応し、box[i] に要素の値が入リ、next[i] に次の要素の番号が入る。配列が図の状態の場合、リストの3番目と4番目との間に値が H である要素を挿入したときの next[8] の値はどれか。ここで、next[0] がリストの先頭(1番目)の要素を指し、 next[ i] の値が0である要素はリストの最後を示し、next[ i] の値が空白である要素はリストに連結されていない。
(出題元:問6 分類:基礎理論)
- 3
- 5
- 7
- 8
正解 : ウ
「リスト」とは、ポインタ(要素番号)で各要素をつなぎ、要素が1列に並んでいるように管理できるデータ構造です。「配列」というデータ構造も、要素が1次元や2次元に並んでいますが、配列は要素が順番に並んでいるのに対して、リストは実際には要素が並んでいるのではなく、ポインタでつながっています。要素を削除したり、あるいは要素の間に新しい要素を挿入するとき、配列は要素をすべて並び変える必要があります。それに対してリストは、要素はそのままで、ポインタを変えるだけで挿入や削除を行えることが大きな特徴です。本問は、box[i] が要素で、next[i] がポインタ(要素番号)です。next[i] には、i 番目の次の要素へのポインタが入っていますから、図のようにつないでいくと、A→E→C→G→B の順になることがわかります。

次に、3番目と4番目の間、つまり C の後ろに H を挿入します。C の次は7番目の G ではなく、8番目の H に変わりますから、next[3] には8が入ります。そして H の次が G ですから、next[8] には7が入り、図のようになります。このように、要素を並び替えず、ポインタを変えるだけで要素が挿入できます。

Cの後ろにHを挿入したリスト
よって、next[8] は7ですから、正解はウとなります。
- No. 2仮想化マシン環境を物理マシン 20 台で運用しているシステムがある。次の運用条件のとき、物理マシンが最低何台停止すると縮退運転になるか。
〔運用条件〕
(1) 物理マシンが停止すると、そこで稼働していた仮想マシンは他のすべての物理マシンで均等に稼働させ、使用していた資源も同様に配分する。
(2) 物理マシンが 20 台のときに使用する資源は、すべての物理マシンにおいて 70% である。
(3) 1台の物理マシンで使用している資源が 90% を超えた場合、システム全体が縮退運転となる。
(4) (1) ~ (3) 以外の条件は考慮しなくてよい。 - (出題元:問13 分類:コンピュータシステム)
- 2
- 3
- 4
- 5
正解 : エ
問題文の運用条件より、1台が停止して残り 19 台に1台分の資源を割り振った場合の資源を考えます。
70+70/19=73.6842105……(約73.7%)
2台が停止した場合 70+140/18=約77.7%
3台が停止した場合 70+210/17=約82.4%
4台が停止した場合 70+280/16=87.5%
5台が停止した場合 70+350/15=約92.3%
つまり、5台が停止した時点で使用している資源が 90% を超えて、縮退運転となります。
よって、正解はエです。
【別解】
X 台が停止した場合、その資源を残り(20-X)台に割り振るので、使用する資源は次の式になります。
70+70X/(20-X)%
これが 90% を超えるときは、70+70X/(20-X)≧90 が成り立ちます。これを解くと、
70X ≧ 20(20-X) より、90X ≧ 400 となり、X ≧ 4.444…
X は整数ですから、X が5台の時に初めて 90% を超えることになります。
よって、正解はエです。
- No. 3図のメモリマップで、 セグメント2が解放されたとき、セグメントを移動(動的再配置)し、分散する空き領域を集めて1つの連続領域にしたい。1回のメモリアクセスは4バイト単位で行い、読取リ、書込みがそれぞれ 30 ナノ秒とすると、動的再配懺をするために必要なメモリアクセス時間は合計何ミリ秒か。ここで、1k バイトは 1,000 バイトとし、動的再配置に要する時間以外のオーバヘッドは考慮しないものとする。(出題元:問18 分類:コンピュータシステム)
- 1.5
- 6.0
- 7.5
- 12.0
正解 : エ
セグメント2が解放されると、セグメント3の前に空き領域ができます。
セグメント3(800k バイト)を、前方に寄せると、最も少ない回数で空き領域を1つにすることができるので、これを移動する時間を考えます。
1回のメモリアクセスは4バイト単位なので、800k バイトにアクセスする回数は、
800,000(バイト)÷4=200,000(回) となります。
データの移動には、読取り(30 ナノ秒)と書込み(30 ナノ秒)が必要なので、アクセス時間の合計は、
200,000(回)×30(ナノ秒)+200,000(回)×30(ナノ秒)=12,000,000(ナノ秒)=12(ミリ秒)となります。
よって正解はエ です。
- No. 4DBMS の排他制御に関する記述のうち、適切なものはどれか。
(出題元:問題34 分類:技術要素)
- アクセス頻度の高いデータの処理速度を上げるためには、 排他制御が必要である。
- 処理速度を上げるため、 排他制御を行うデータの範囲は極力大きくすべきである。
- データアクセス時のデッドロックを防止するために、 排他制御が必要である。
- 複数の人が同時に更新する可能性のあるデータには、 排他制御が必要である。
正解 : エ
DBMS(データベース管理システム)の排他制御とは、複数のデータ更新によってデータの不整合が生じないように、データを更新している間は、他から同じデータを更新できないようにする機能のことです。
排他制御のために一時的にアクセスを制限することを、ロックといいます。ロックによってリソースの競合が起こると、場合によっては、ロックの解除をお互いに待ち続けてアプリケーションが止まってしまうことがあります。これをデッドロックといいます。
ア:排他制御の目的は、処理速度を上げることではありません。むしろ、排他制御をする分だけ処理速度が下がる場合もありますから不適切です。
イ:排他制御の範囲を大きくすると、その分だけオーバーヘッドが増えて、一般的に処理速度が下がりますから不適切です。
ウ:排他制御はデッドロックの防止にはなりません。デッドロックの原因になりますから、不適切です。
エ:適切です。複数の人が同時に更新する場合に、1人がデータを更新している間は、他の人は同じデータを更新できないようにするのが排他制御です。
よって、正解はエです。
- No. 5図は NTP による時刻合わせの基本的な仕組みを表している。NTP サーバからの応答には、NTP サーバでの問合せ受信時刻と、応答送信時刻が含まれており、PC は図に示した4つの時刻からサーバ時刻とのずれを計算する。このとき、PC の内部時計は NTP サーバの時計と比べてどれだけずれているか。ここで、伝送遅延は問合せと応答で等しいものとする。また、図中の時刻は、 PC と NTP サーバのそれぞれの内部時計の時刻であり、aa:bb:cc.dddddd は aa 時 bb 分 cc.dddddd 秒(dddddd はマイクロ秒)を表す。
(出題元:問題34 分類:技術要素)
- 100 マイクロ秒進んでいる。
- 200 マイクロ秒進んでいる。
- 500 マイクロ秒進んでいる。
- 700 マイクロ秒進んでいる。
正解 : イ
NTP(Network Time Protocol)とは、NTP サーバのもつ時刻と、ネットワークに接続されている PC や各機器のもつ時刻との同期をとるプロトコルです。利用者からの問合せに対して正確な時刻を返答します。
問題文の図は、PC からの問合せに対して NTP サーバが応答する時刻を示しています。
・PCの内部時計で、問合わせを送信してから応答を受信するまでにかかる時間は aa:bb:cc.000900-aa:bb:cc.000100=00:00:00.000800 より、800 マイクロ秒です。
・NTP サーバの内部時計で、問合せを受信してから応答を送信するまでにかかる時間は、aa:bb:cc.000400-aa:bb:cc.000200=00:00:00.000200 より、200 マイクロ秒です。
・したがって、問合せから応答までの伝送遅延は、800-200=600(マイクロ秒)です。ここで、伝送遅延は問合せと応答で等しいという条件より、問合せと応答のそれぞれの伝送遅延は、600÷2=300(マイクロ秒)となります。
・NTPサーバの内部時計で応答を送信したのは aa:bb:cc.000400 ですから、PC と NTP サーバにずれがなければ、PC で応答を受信するのは、伝送遅延の 300 マイクロ秒を加えて aa:bb:cc.000400+00:00:00.000300=aa:bb:cc.000700 となるはずです。
・ところが、PC で応答を受信したのは aa:bb:cc.000900 です。この差が PC と NTP サーバのずれとなります。したがって、ずれは aa:bb:cc.000900-aa:bb:cc.000700=00:00:00.000200 より、PC は 200 マイクロ秒進んでいることになります。
よって、正解はイです。
- No. 6機密ファイルが格納されていて、正常に動作する PC の磁気ディスクを産業廃棄物処理業者に引き渡して廃棄してもらう前に行う情報漏えい対策のうち、適切なものはどれか。(出題元:問題43 分類:技術要素)
- 異なる圧縮方式で、機密ファイルを複数回圧縮する。
- 専用の消去ツールで、磁気ディスクのマスタブートレコードを複数回消去する。
- ランダムなビット列で、磁気ディスクの全領域を複数回上書きする。
- ランダムな文字列で、機密ファイルのファイル名を複数回変更する。
正解 : ウ
>産業廃棄物業者に磁気ディスクの破棄を依頼する場合、磁気ディスクの情報を OS 上で削除しただけでは情報漏えい対策の観点からすると不十分です。OS のファイル管理下で磁気ディスクからデータを削除しても、その領域は未使用領域になるだけで、実際のデータは消去されずそのまま残るからです。
ア:機密ファイルを圧縮しても、磁気ディスクに記録されたままの状態なので不適切です。
イ:マスタブートレコードとは、磁気ディスクからデータを読む際に最初に読まれる情報のことです。この情報が破損すると OS を起動することはできませんが、起動しようとすればマスタブートレコードが破損していることは簡単に判明し、しかもこのレコードは簡単に修復できるので不適切です。
ウ:適切です。ランダムなビット列で、磁気ディスクの全領域を複数回上書きすれば、以前記録されていた情報は完全になくなります。
エ:機密ファイルのファイル名を変更しても、実際のデータはそのまま記録されているので不適切です。
よって、正解はウです。
- No. 710 人 が 0.5k ステップ/人日の生産性で作業するとき、30 日間を要するプログラミング作業がある。10 日目が終了した時点で作業が終了したステップ数は、10人の合計で 30k ステップであった。予定の 30 日間でプログラミングを完了するためには、少なくとも何名の要員を追加すればよいか。ここで、追加する要員の生産性は、現在の要員と同じとする。(出題元:問題53 分類:プロジェクトマネジメント)
- 2
- 7
- 10
- 20
正解 : ウ
・ まず、作業の総ステップ数を求めます。0.5k ステップ/人日の生産性で 10 人が 30 日間を要する作業ですから、ステップ数は、0.5×10 人×30 日=150(k ステップ)となります。
・ 次に、10 日目完了時点で終わった作業から、要員の生産性を考えます。10 日間で 30k ステップ分の作業が終了したので、生産性は、30÷10 日÷10 人=0.3k ステップ/人日だったことがわかります。
・ 以上より、残り作業に必要な要員数を求めます。残りは 20 日間で(150-30)=120k ステップ分の作業を完了させなければなりません。要員の生産性は変わりませんから、必要な要員数は、120÷20 日÷0.3=20(人)となります。ところが、現状では 10 人しかいません。
したがって、20-10=10 より、あと 10 人の追加が必要です。
よって、正解はウです。
- No. 8情報セキュリティ監査において、可用性を確認するチェック項目はどれか。(出題元:問題59 分類:サービスマネジメント)
- 外部記憶媒体の無断持出しが禁止されていること
- 中断時間を定めた SLA の水準が保たれるように管理されていること
- データ入力時のエラーチェックが適切に行われていること
- データベースが暗号化されていること
正解 : イ
企業の情報資産を正常に維持するために重要な、機密性、完全性、可用性を、情報セキュリティの3要素とよびます。情報セキュリティ監査では、これらを必ず確認します。
・ 機密性:情報資産を正当な権利を持った人だけが使用できること。
・ 完全性:情報資産の正当性、正確性、網羅性、一貫性が維持されていること(欠落や改ざん、重複などが防がれていること)。
・ 可用性:情報資産を正当な権利を持った人が必要なときに使用できること。
また SLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意書)とは、サービスの提供側と顧客がサービスの要件をもとに協議して、サービスのレベルに合意した事項をまとめたものです。
ア:機密性を確認するチェック項目です。
イ:可用性を確認するチェック項目です。
ウ:完全性を確認するチェック項目です。
エ:機密性を確認するチェック項目です。
よって、正解はイです。
- No. 9情報システムの調達の際に作成される RFI の説明はどれか。(出題元:問題66 分類:システム戦略)
- 調達者から供給候補者に対して、システム化の目的や業務内容などを示し、必要な情報の提供を依頼すること
- 調達者から供給候補者に対して、対象システムや調達条件などを示し、提案書の提出を依頼すること
- 調達者から供給者に対して、契約内容で取り決めた内容に関して、変更を要請すること
- 調達者から供給者に対して、双方の役割分担などを確認し、契約の締結を要請すること
正解 : ア
RFI(Request For Information:情報提供依頼書)とは、発注元が RFP の作成に必要となる技術情報を得るために、ベンダに情報提出を依頼する文書です。
ア:RFI の説明です。
イ:RFP(Request For Proposal:提案依頼書)の説明です。
ウ:契約内容の変更を取り決める文書は RFI ではなく、変更契約書、変更合意書、覚書などとよばれる文書です。
エ:契約締結を依頼する文書は RFI ではなく、契約締結依頼書などとよばれる文書です。
よって、正解はアです。
- No. 10個人情報に関する記述のうち、個人情報保護法に照らして適切なものはどれか。(出題元:問題79 分類:企業と法務)
- 構成する文字列やドメイン名によって特定の個人を識別できるメールアドレスは、個人情報である。
- 個人に対する業績評価は、その個人を識別できる情報が含まれていても、個人情報ではない。
- 新聞やインターネットなどで既に公表されている個人の氏名、性別および生年月日は、個人情報ではない。
- 法人の本店住所、支店名、支店住所、従業員数および代表電話番号は、個人情報である。
正解 : ア
個人情報とは、生きている個人の情報で、かつ、その個人を識別できる情報です。
ア:適切です。個人を識別できるメールアドレスは、個人情報です。
イ:個人を識別できる情報が含まれていれば個人情報ですから、適切ではありません。
ウ:すでに公表さているかどうかにかかわらず、個人を識別できる情報が含まれていれば個人情報ですから、適切ではありません。
エ:法人の情報だけで個人を識別できる情報ではありませんから、個人情報ではなく、不適切です。
0 よって、正解はアです。
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